ゲルの天窓から差し込む月の光に誘われて、外に出てみた。隣のゲルから聞こえるハングルを話す人たちは、きっと夜空を眺めているのだろう。
夕方、空はうっすらとした雲に覆われ、夜半に雨が降り、もう星空は無理かなと思ったが、その声を聞いて、ゲルの外に出てみた。
星降る夜だ。カシオペアが見える。すると、あれが北極星。目が悪いので、薄い光の星はぼやけて見えるが、無数の星が瞬いている。
すっと流れる光が目の片隅に。すっすっすっと。こんなに多くの流れ星が見えるものか。これは目の錯覚か。
モンゴルの夜空に輝く星座も、日本から見える星座も見える角度は違えど、ほとんど同じ。そんなことに心が震えた。
首をずっと上に向けていたら、痛くなってきた。Tシャツ一枚で出てきたので寒い。日頃下を向いてスマホばかり見ているせいか、久しぶりに頭を上に向けて空を見たら、首が痛くなった。ずいぶん長い間、夜空を見失っていたことに気が付いた。