ツーリストキャンプにある観光客用のゲルに宿泊する場合、食事付きではあるが、ウランバートル市内の東横インに泊まるより高い。東横インは日本のビジネスホテルのサービスをそのままウランバートル市内に持ち込んでいるので、そのクオリティーは高い。日本のビジネスホテルと同じ料金で、ウランバートル市内中心部に部屋が確保できることは、日本のビジネスホテルに慣れているものからすれば、実に素晴らしい。
しかしながら、モンゴルの生活様式を楽しみにしてきているのだから、日本の環境が再現できていることを喜んでも仕方がない。なので、モンゴルを味わいたい観光客はツーリストキャンプのゲルを目指す。
ツーリストキャンプは、日本のキャンプ場のバンガローをゲルに置き換えたようなものだ。なので基本的にシャワーやトイレは別棟にある。バンガローにも色々あるように、シャワートイレ付きのゲルもある。
日本のキャンプ場と違うのは、ツーリストキャンプの場合は、森の中にではなく、草原の中にあるということ。また、併設されたレストランでは、ホテルと同レベルのメニューで食事が提供される。
キャンプも数日であれば非日常感が楽しいが、一年中住み続けるとなると、かなり厳しい。生活している人たちのゲルにはテレビも炊事場も全て揃っているようだが、システムキッチンのような便利な家電からは遠くかけ離れている。
でも、ゲルでの生活には憧れる。夜を過ごす時のワクワク感。外気、外の音などが薄いゲルの壁越しに伝わる緊張感。満天の星。
一度都市生活に慣れるともう二度と戻れない。例えば、日本を訪れて生活をしてみたモンゴルの人たちであれば、ゲルでの遊牧生活の良さには気付くと思うが、そこへ自分たちが戻っていくことはもうできないと思う。内容は違っても、日本人が都市に住みたがるのと同様の構図だ。都市に住む人たちが、時々キャンプに出かけることで、そのギャップを埋めることと同じ。どこまで行ってもないものねだり。両方とるなら、もう二拠点生活しかない。