車椅子テニスプレーヤーの国枝選手が引退する。車椅子に乗りながらあれだけ俊敏に動ける状態をキープし続けるためには、想像を超えた努力が必要なのだろう。
移動するだけでも大変だ。街から街へ動くことだけでも大きなハンディーがある。その上で人並外れた運動能力を維持しながら、長年第一人者として活躍し続ける。並大抵の努力では出来ない。
そんな国枝選手の活躍は、多くの人たちの背中を押してきたと思う。
それでも、いつかはそのポジションを後進に譲る時が来る。だめになってからやめるのではなく、トップにいる時にやめる、というのは本当にかっこいい。
モチベーションの維持というのは難しい。人から見て羨む状況にある人でも、本人がそれに満足しなければ、モチベーションを保つことができない。
ナンバーワンになることを目指しているのだけれども、本人の目標はそこにない。さらに先の目標がそれぞれにある。国枝選手もきっと違うことを目標にして始めるのだろう。
私は自分の限界を試したことがない。限界も何も大した限界ではないことは重々承知しているが、自分がどこまでやれるか全力で試してみたことがない。
生まれてきて、これだけはやり切った、ということがないのは、どうかと思う。死ぬまでには、何かやり切った、と言えることをやってみたい。始めることに遅かったということはないはずだ。
