私は子どもの頃から地図が好きで、地図を眺めては知らないところへ行くことを夢想していた。
地図は正確にその土地の形状を表しているものと考えがちであるが、かつてはそのようなことはなかった。正確な地図を作ることには大変な困難を伴った。
(三浦半島)
地図の重要性は軍事面から想像できる。攻撃する場所の地理がわからなければ作戦を計画することができない。軍事衛星が常日頃から地上を監視しているのは、地上での変化を常に捉えるためである。
軍事的な側面以前には、領土を主張するために作られたという。
考えてもみれば、アメリカ大陸には先住民族がいたわけだが、彼らの権利は無視されて、略奪者のものとなった時の武器が地図だった。
ここは我々の領土であると、地図を使って宣言されてしまうと、地図という手段を持たない者たちは、権利を主張することもできない。
いや、それ以前に、この大地は生けるものたちの共有物であり、所有できない、一時的に使わせてもらっているのだ、という謙虚な態度が、先住民族にはあったという。
ロシアを我々は非難するが、我々も含めて同様な行為を、各国繰り返し行っている。
地図を眺めていると、さまざまな課題を考えることができる。