Just do it !

とりあえずやってみよう。考えるのはそのあとだ。


落合信彦と落合陽一

 

高校生から大学生の頃、落合信彦さんの本を数多く読んだ。世界各国の要人と会い、書籍にまとめていた数々の著作に憧れた。今でこそ世界中どこへでも行けるようになっているが、当時はまだ日本から世界に出かけることは、それなりに大変な時代だった。

高校時代に世界各地を飛び回る姿に憧れ、大学生になったころ、円高が一気に進み、欧州が考えられないくらい近くなった。

それでも当時は、夏休みにパリやロンドンへ行こうとすると、東京で買うと最低でもソ連のアエロフロートで三十万。その他の航空会社でも、四十万。日本航空なら五十万くらいしていた。

私は出来たばかりの、香港のHISで香港発東京経由のパリ行きなどを八万円くらいで購入して、香港と欧州を休みの度に行ったり来たりしていた。そのような買い方は違法だと言われていたけれど、今となってはどこが違法なのかよくわからない。常識は時代とともに変わる。

世界各地をふらふらしていた私だが、外資系企業に入ると案外外国へ行くことはないもので、たまの休みに出かけるくらいとなった。子どもができて、やがて旅行どころではなくなって、学費を稼ぐために、せっせと会社へ通う、よくいるサラリーマンの一人となった。

子どもが高校生くらいになった頃、落合陽一という名前を知った。落合信彦さんのご子息らしい。ふーん、と思っていたら、自分の子供の口から落合陽一さんの話を聞くようになった。どうやらうちの子は、落合陽一さんのようになりたいらしいと知った。

落合信彦さんと、落合陽一さんは全く行っていることは異なるが、私と子どもが全く異なるように、同じように異なることをしている。

結局子どもは工学部へ行って、メディアのエンジニアになった。

私は外資系の会社へ行って、主に海外の人たちと仕事をしている。

なんだか親子間の方向性も似ている。

なんと説明すれば良いのかわからないが、とても嬉しかった。