帰りの初日は東海道を遡り、草津にある中山道との分岐を越えた一つ目の宿場の守山まで歩いた。
腰を痛めて一週間になる。毎日重い荷物を背負って歩くので、治る要素がない。続けてあとで腰が立たなくなるのも困る。
京都からの帰りは体も慣れてスピードアップできると考えていたが、そうはなっていない。街を歩いていると、大勢の人に抜かれていく。速度も時速四キロがやっとだ。疲れて少し休むともう四キロ台もキープ出来ない。帰りは電車と歩きの併用で、進むことになるかもしれない。
守山宿のあった守山駅前のホテルにチェックインをして、背中の荷物を降ろしたら、もう動くことができなくなってしまった。椅子に座っても、立っても、横になっても、これを書いていても痛い。岡崎から熱田神宮へ向かった時、調子よく走ったのが最後で、もう一週間腰痛に悩まされている。背中に荷物を背負って毎日三十キロも歩いていたら、治らないのは理屈の上では当然だ。中山道を歩いて帰るのは諦めるしかないか、という判断に傾いている。何しろトイレに行けない。段差が乗り越えられない。にも関わらず、歩くことは出来る。ただ負担はかかっているので、荷物を下ろしたり、一度座るともう立てない。
しかし、東京まで帰らなくてはならない。どうせ帰るなら、少し様子を見て帰りたい。ただそれも体の調子次第だ。ホテルの予約のキャンセルをしなければならないが、体の調子と相談することにした。
まずは次の目的地、彦根に列車で向かうことにする。