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東海道と中山道の歩き方



街道歩きをするときに、通しで歩くか、分けて歩くかは悩ましいところです。

通して歩く場合と、分けて歩く場合で、歩き方がどのように違うのか、振り返ってみましょう。

通して歩くメリットとデメリット

東海道を十八日間かけて歩きました。

東京に住んでいますが、日本橋を出発してから、一度も家へは戻らず、京都まで歩き通しました。

通して歩いて得られるものは大きな達成感です。

連日歩き続けるため、どんなに疲れていても、次の日もその次の日も朝起きて歩きます。

雨が降っても、台風が来ても歩き続けます。

ホテルを連続して予約しているため、一箇所で変更すれば、その後の予定全てを変更することになります。その手間が大変なので、意地でも毎日続けて歩こうとします。

十八日も歩き続けると、マメができます。潰れたところをかばって歩くので、腰に負担がかかります。そのため、途中で腰痛になってしまいました。

でも、無理をした分だけ、喜びも大きいものがあります。

京都の三条大橋にたどり着いたときには、大きな達成感でいっぱいでした。

この感激を味わうためには、やはり大変でも通しで歩くのが一番良いとは思います。

分けて歩くときのメリットとデメリット

しかし、そうは言っても。予定が詰まっていたり、体力的に難しかったり。

人によってその状況は様々です。

通しで歩けないのであれば、歩く意味がないかと言えば、そのようなことはありません。

私は中山道を分けて歩き始めました。本当は通して歩きたかったのですが、腰を痛めてしまったため、重い荷物を背負って歩くことができなくなりました。

それでも歩いてみたかった私は、日本橋から歩き始めて初日は浦和まで。二日目は浦和から歩き始めて熊谷まで歩いてみました。

分けて歩くメリットは、歩く日を選べるということです。

雨の日には無理をして歩く必要はありません。

疲れていれば休養を取り、体力が回復してから、改めて挑戦する事が出来ます。

また重い荷物を背負って歩く必要がありません。その日に必要な荷物だけ背負えば良いのです。

自宅から電車で通える距離であれば、宿泊費もかかりません。東京からの往復なら、碓氷峠の手前までは、日帰りでも十分可能な距離と交通費です。

宿泊地も連泊することが出来ます。

例えば、軽井沢に宿をとって、前泊するとします。翌朝、碓氷峠の東京側、例えば横川まで朝一番のバスで戻ります。そして、歩き始めます。そして、その日前泊した軽井沢の宿に戻るのです。

その時、ほとんどの荷物を軽井沢の宿に置いていけば、碓氷峠越えもずいぶんと楽になるはずです。

分けて歩けば、鉄道やバスなどの交通手段を組み合わせて使うことが出来るので、安い宿と並行して鉄道が通る地域であれば、1日歩くごとに鉄道やバスで拠点に設定したホテルまで戻り、また翌日移動して続きを歩くということが出来ます。

中山道、東海道ともに、ほとんどの地域で鉄道の線路が並行して走っています。

ロングトレイルではなくなりますが、東海道や中山道を無理せずに歩くことを目標にするのであれば、そのような方法も取れることと思います。

特に、中山道の山岳部については、宿の数も少なく、ルートの人気も高いため、宿が取れず、やむを得ずそのような方法を取らなければ歩けない、ということも起きるかもしれません。

東海道の場合は、そのようなことはないでしょう。

東海道の歩き方

東海道は東西の大動脈だけあり、東京から京都まで大きな街が続きます。

工業地帯であった場所を通りますので、ビジネスホテルも数多く、泊まることで困ることはありません。

新幹線の駅の前には、大手チェーンのホテルが必ずあります。

三重県から滋賀県にはいる鈴鹿峠の前後だけ、宿が一時的に少なくなりますが、東海道のその他の街に比べれば少ない、というだけで、困るほどではありません。

数日ずつ分けて歩く場合でも、続けて歩く場合でも、宿泊についても、交通についても困ることはないでしょう。

歩くときに迷うことも少ないと思います。

いたるところに東海道を指し示す標識が立っています。

中山道の歩き方

中山道はその点厄介です。

峠をいくつも越えていきます。これはこのルートの素晴らしさであり、自然を堪能できるということでもあります。一方、宿泊地がリゾート施設ばかりになり、費用がかかる、ということでもあります。

昔ながらの宿場の雰囲気を色濃く残した宿に泊まることができれば、それは素晴らしい思い出になることでしょう。

しかしながら、そのような宿は宿泊費もビジネスホテルよりはかさみます。

宿泊の体験自体は素晴らしいものになりますが、予算としては多めに準備しなければならなくなります。

木曽山中などは宿と宿の間に泊まるところがない、ということもあります。

連続して歩く場合には、自身の体力と、天候と相談しながら歩くことになります。

宿と宿の間が離れている木曽山中、軽井沢から諏訪へ抜ける和田峠などでは、どこに泊まるべきか、考えこんでしまう悩ましい区間です。

逆に言えば、通しで歩くことにさえこだわらなければ、電車と徒歩を組み合わせてどのように移動するか、工夫の余地があるので、いろいろと検討することが楽しくなることでしょう。

旅の形は人それぞれ。

若くて体力に自信があれば、通しで歩くのも良いですし、体力に自信がなければ、何度かに分けて、電車で行き来しながら歩くのも楽しいかもしれません。

街道歩きの醍醐味

帰り道、歩いた道沿いに鉄道が走っていれば、数日前に歩いたところを思い返しながら自宅へと向かうことが出来ます。

歩く速度というのは、車や自転車の旅と比べて、体に刻まれるものが大きいように思います。

ほんの一瞬の光景で、その旅の一部が瞬時に蘇ります。

家と家の隙間から、少しだけ目に入った、数日前に歩いた街角で、その時自分がどのような気分でいたか、すぐに思い出すことができます。

通しで歩くのが大変でも、少しづつ歩くことなら、多くの人にも出来ることでしょう。

その体験は一生忘れられない、自分の自信にもなる、素晴らしい体験となります。ぜひチャレンジしてみてください。

その時は、まずは東海道から始めることをおすすめします。