岡山駅からバスで宇野港へ向かった。電車で行こうかと思ったが、バスだと一つ早い船に乗れそうだったので、バスで向かうことにした。
前日には駅のバス停の場所と出発時刻も調べて、間に合うように着いた。ところが、バスの到着が宇野港からの出航時間ギリギリとなった。
あと三分というところで、直島行きの船が見えた。あれかな、と思ったが、ここで降りてくださいとは言われない。でも、何人かが降りて道を渡っていく。あと二分だ、どうしよう、と考えているうちにバスは次の停留所へ向かった。
電車の駅前のロータリーに面したバス停が次のバス停だった。でも、まだ直島港はここではないらしい。わずかな距離で、先ほどのバス停から100メートルも動いていない。降りて駅に向かう人が数名。
そしてロータリーを半周して出たところにまたバス停があった。そこは、先ほど止まった停留所のすぐ向かいの位置だ。横断歩道を渡ったところだ。
降りるのは、ここらしい。私ともう一人外国人ツーリストが飛び降りた。一分前。
ダッシュして、船のチケットを買って、船に飛び乗った。二人で顔を見つめあった。信じられない。顔を見ればお互い言葉がなくても同じ感情を共有していることがわかった。
運転手さん。旅の思い出をありがとう。
帰り道、バスはやめて、電車にした。