曇天の石垣島。私の心が天に伝わっているかのような空。島を訪れてからの八日間。南の島にふさわしい晴天続き。気温は三十度近くまで上がり、肌は思いのほか焼けている。
連休最終日に、休養が十分に取れて、明日からまた頑張るぞ、と言える日本人は、多分休みなど取らずに働き続けていると思う。フランス、ドイツ、イタリアなどの人たちは、ひと月近く休むので、さらに休みは長い。しかしながら、ひと月近く休むと、どんな人でも、そろそろ働きたいと思うのかもしれない。かえって、その方がやる気に満ちて、もうこれ以上休みたくないと思えるような気もする。せいぜい九日程度の連休が最長の休みなどと言ってる日本人は、そもそも、休むのが嫌になる程、休んではいないのだ。たぶん。
明日東京に帰る。帰ってすぐ、山ほどの仕事が待っている。ワークシェアのパートナーが対応してくれていたみたいなので、業務に支障は出ていないと思うが、自分にしかできないこともある。
私は今まで何度も会社を辞めて、また働くということをしてきた。その間、数ヶ月働いていなかったことは何度もあるが、それが嫌になったことはない。怖いと思ったこともない。いつもなんとかなるさ、と思っていたし、それで還暦直前までやってきた。
たっぷり休みが取れたので、またこれから頑張ります!などと言っていた人を思い出すが、本当にそうだったのだろうか。私は常に戻りたくない気持ちと戦って仕事に出ている。
休暇の最初の三日はあっという間。まだ一週間もある。そんなことを思っていたのに、もう明日帰らなければならない。
悩ましいのは仕事だけでは無い。親の健康状況が良くなければ、病院への付き添いも必要だ。子どもの体調が悪ければ、その心配もしてしまう。思い返せば日常の中には、いくつもの火種が燻り続けている。日頃はそれらに目が行き届いているが、旅先では、それらの日常を忘れていられる。要するにそれだけのことなのだ。私は私の世界に戻って、また、人生の続きを続けなければならない。最終日には、そんなことを考えていることをここにメモしておこう。