無印良品の買い物カートを愛用している。買い物で使っているわけではない。旅行の時に使っている。
リモアのスーツケースは持っているし、小型の使いやすいスーツケースも持っている。
そもそも、私はスーツケースを使う人ではなかった。どこへ行くにも背中にリュックを背負って出かけていた。
そんな私がスーツケースを使うようになったのは、街道歩きで腰を痛めたからだ。豊崎から名古屋まで歩いている時に、ちょうど台風が直撃するというので、背中に十キロの荷物を背負ったまま、五キロくらい走った。その翌日、朝ベットから起き上がれなくなってしまった。
それでも無理をして京都まで歩いてすっかり腰を痛めてしまった。それ以来、重い荷物を背負って歩くことが出来なくなった。
その時に帰り道、スーツケースを買って、杖の代わりにゴロゴロ転がして、家まで帰ってきた。
よくお年寄りが買い物カートを押しているのをみると思うが、あれは重い荷物を運ぶためということもあるが、半分は杖の代わりなのだ。よく見れば、ほとんどのカートには四つの車輪が付いている。引くだけなら二つでも良いのだ。自分の体重を支えるためには、四つの車輪が無いと安定しない。
小さなバックがついた形状のカートもあるが、そのようなタイプの場合は、小さなサイズにも関わらず、けっこう重い。荷物が軽すぎると、安定せずに滑りやすいからだ。
腰を痛めて以来、京都からの帰り道で使った小型のスーツケースをずっと使用していたが、これがなんとも大袈裟な感じがしていた。体を支える必要は無くなったし、もう少し軽くて、階段などでも運びやすいタイプはないかと、あらゆるお店のカート売り場で物色し続けた。
そして、ようやく見つけたのが、無印良品の買い物カートだ。
買い物袋の下に車輪が付いていて、手を離しても自立する。折りたたんで丸めて運ぶこともできるので、使わない時にも場所を取らない。
これに私はリュックを詰めて引っ張っている。
その後も良いものがないかずっと探しているが、今のところこれに勝るものには出会っていない。海外に出かけられるようになったら、今度はこれを引っ張って世界を旅してこようと思っている。
見た目はちょっと買い物に出てきたようにしか見えないので、大事なものが入っているとは誰も思わない。そこがこの買い物カートのまた特筆すべき良い点だと思っている。
高級ホテルに泊まる時には、リュックの代わりにブランド物のバックに荷物を詰めて、カートに押し込む。そしてホテル前で、買い物カートはたたんで仕舞えば良いのだ。そうすれば、あらゆるシチュエーションにも対応できる。
これを買い物だけに使うのはもったいないと思っている。