マンションと原発はよく似ている。
できたばかりの頃はクリーンなエネルギーで低コストなどと言われていた。しかし廃炉の費用は考慮されていない。
いったい廃炉にどれだけの費用がかかるのだろう。新しいうちは良いけれど、古くなると皆危険を感じて近寄らない。そんな点が、古いマンションとよく似ている。
安定稼働しているときは快適そのもの。煙は出ないし、二酸化炭素もそれほど排出しない。原発と言っても、やっていることは、お湯を沸かすことだ。お湯だけならとてもクリーンだ。
マンションの管理組合の理事をしてみると、管理がいかに大変かわかる。常に住人の意見を擦り合わせる必要がある。自分一人では決めることができない。原発も同じだ。雇用と国からの助成金とそれに絡む利権を求めて、有象無象が蠢く。
では、原発を廃止すれば良いのか。廃炉すれば良いというものでもない。一度稼働し始めたら、いつまでも管理し続けなければならない。放射性物質と共に異空間に消えてくれるなら別だが、そのようなことは起きない。管理し続けなければならない。一度使い始めたら、いつまでも管理し続けなければならない。私が死んだ後でも、あなたが死んだ後でも、誰かが管理し続けなければ、いつか原子力発電所の周囲に放射線が漏れる事態となる。
それを防ぐには、技術者を継続的に育成しなければならない。そのためには稼働し続けなければならない。
百年後原発はどうなっているのだろう。
二百年後には、周りに誰も住まなくなるのではないか。
やがて原発の周囲には野生動物が住みつき、動物保護区のようになるのかもしれない。
でもそこに人はいないのだ。いや、それでもそこで良い、という人だけが住んでいるのかもしれない。
答えはまだない。