家を買うために、中古の物件をいくつも見てきた。その数は数えきれない。最近は買うのを諦めているので、見に行っていないが、見に行って感じることは、すなわち、見せる時に気をつけるべきことだ。
人が住んでいる状態の家に、見学で伺うのは気が引ける。私が家を売るときには、何人もの人たちが見にきてくれたが、私が躊躇するくらいなので、同じように躊躇された回数も多いはずだ。
売ると決めたら、家の中は空にしたほうが良い。いつでも見学できるようにしたほうが、売れやすいはずだ。
でも、引越してしまうと、家賃が発生する。だから住みながら見せるしかない。その場合には、出来るだけ、家の中から生活感を無くすことだ。
自宅をモデルルームのように仕上げる。生活感を消す。本棚には本を詰め込まない。台所で目につくものは、全て収納する。石鹸やタオルも片付ける。とにかく小物類は全て目につかないところに入れる。または、これを機会に捨てる。
水分は全て拭き取る。蛇口やシャワーヘッドなど、濡れた状態にしない。バスタブやシンクの水滴も全部拭き取る。シャンプーや石鹸などは見えないところに片付ける。金銀などの、反射するような素材のものは全て磨く。スポンジのような磨き道具で革靴の靴磨きのときの要領で、ツルツルに輝くまで磨き上げる。
棚のものは極力減らす。テーブルやデスクの上に物は置かない。置物も片付ける。ただし、特別感のある、絵、ポスターなどは、雰囲気作りのために残す。
ベランダは全て洗剤と水で洗う。住んでいると見慣れてしまうが、ベランダの汚れは目につく。
家の周りの雑草類を抜くことも大事だ。マンションでも、エレベーターから自宅の玄関までのルートに、ゴミがないようにする。
廊下に自転車などを置いている家があれば、せめて、見学者が来る時には片付けてもらう。
玄関のドアはピカピカに拭き上げる。ドアノブも光るくらいに磨く。靴は全て靴箱に入れる。玄関にはチリ一つ残さない。タイル張りの玄関なら、反射するまで磨く。
これを毎週週末の都度繰り返す。これが半年続いた。
だから、ローンが払えなければ、売れば良い、なんて簡単には言えない。人生の約半年間が、この繰り返しで消えた。家を売るのは大変だ。
