大学生の時、東京証券取引所でアルバイトをしていた。証券相場の生放送をするラジオの取材チームのようなところで、株価の上がり下がりを調べる係として働いていた。
バブルの真っ最中で、今と違って取引所の中には大勢の人たちが注文票を持って行き交っていた。現在は全てオンラインになっているので、取引所の中で動く人の姿はない。
大学生だった私がもうすぐ還暦になるほどの時間が経って、ようやく株価が当時の水準に戻った。およそ三十年たったわけだが、私が社会人として過ごした期間はインターネットが世に普及する三十年でもあった。ネットがリアルを変えて、クルマもハイブリッドが普及して、電気自動車が普通に走っている。
日本円は弱くなり、当時日本人が海外へ出かけて、ブランド品をパリやロンドンやニューヨークで消費していたことと同じことを、海外からの旅行客が日本で行っている。
欧州はユーロを導入して、ドルに対抗できる力を持てたが、日本円はズルズルと沈み続けている。
新しい産業の芽が出てくるように思われても、日本はまずはルール作りと言って規制をして、押さえつけるばかり。自由にアジャイル式に、まずはやってみて試して伸ばす他国と比べて、日本はウォーターフォール式に、全て固めてから動こうとして、動き始めた頃には、他国では次の次元へと動いている。
還暦過ぎたら、海外と日本を行ったり来たりする楽しい生活を夢見ていたけれど、どうやらそれは絵に描いた餅となりそう。
わずかばかりの投資信託がずいぶんと増えてはいるが、使って仕舞えば、数ヶ月で消えてしまう。
はてさて、これからどんな世界になるのだろう。
