年末にまだコロナ禍が激しさを保ち忘年会を誰もが自粛していた頃、株をいくつか買ってみた。
外食する人がいない時期だったので、外食産業を中心にいくつか選んだ。
吉野家、丸亀製麺、リンガーハット、モスバーガー、鳥貴族など。特に深く調べることもなく、日頃自分が行く可能性がある店の中で、株主優待のあるものにした。
その頃は、どの株価も低迷していたので、コロナ禍が収束すればまた売り上げが伸びていくだろうと普通に考えれば予測がついた。
結果的に、全ての株価が上昇した。
日経平均は下げていたけれど、これらの銘柄は上昇した。なので予想通りの結果となった。
これはこれで良いのだけれど、想定外だったのが、株主優待生活の苦しさだ。
基本的に手ぶらで生活をしているので、株主優待券なども本当は持ち歩きたくない。
しかし、いつどこで食事をすることになるかもしれないので、店がありそうなところに出かける時は、いつも株主優待券を持ち歩かなければならなかった。
吉野家ははなまるうどんでも使えたので、勤め先の近くでランチの時に使うことが出来た。
しかし、丸亀製麺などは行動範囲の中に店舗はなく、なかなか使う機会が無い。
最初の頃は量があったので財布にも入らず、束でバッグの中に入れて持ち歩いていた。
株主優待だけで済ませるというのはまた精神的にきつい。どのお店も最低限のクオリティーはあるので、美味しくないということはないけれど、常に株主優待のある店で食事をしなければならないというのは、大変に不自由だ。
選択の自由というのは実に大切だと思った。
自由であるからこそ選択した時に喜びが生まれる。決められた選択肢の中から選ばなければならない、となると、その美味しさも半減する。
コロナ禍もつい先頃には落ち着いてきたことと、株主優待券がまた届く時期になったので、またあの苦行を繰り返すのはやめたいと思い、全ての株を売却した。
財産はあればあったで大変なんだよという、上場企業の大株主の友人の言葉を思い出した。