タイパという言葉を最近よく聞く。要するに余白が無駄ということらしい。イントロは無駄。ギターソロは要らない。映画は早回しで良い、らしい。最近は浪人する人がほとんどいない。確かに浪人生活のタイパは良くない。
でも、人生は山あり谷ありで、その全てが人生に彩りを与えてくれる。大学受験に失敗しないほうが良いだろうけれど、失敗して谷底から這上がる方が、達成感はある。
子どもがいると、コスパが悪いということも、同じような話だ。収入が全て使えたほうが、自分自身の楽しみに使える分は増える。でも、振り返ってみれば、子どものいない人生なんて、私には受け入れ難い。これは良く出来たもので、子どもが生まれないと感じないことだから、子どものいない人には永遠にわからない。
私は何もしないで、ぼーっとしていることが好きだ。一番の贅沢と思っている。流れてくる音に耳を澄ます。さまざまな音が聞こえてくる。音は時が流れていることを教えてくれる。川の流れなど最高だ。風の音も良い。何も生み出していない。時をただ感じるだけだ。
効率よく生きるなら、なぜ生きているのかと聞いてみたい。どこへ行きたいのだろう。効率よくどこへ行きたいのか。効率よく何に向かっているのだろう。そこで何か優先したいことがあって急いでいるのか。でも、その時に、すっ飛ばして失っていることもある。私が何もしていないようで、あなたが何かをしているようで、その実、何かを失い、何かを代わりに得ているだけ。
時を感じよう。時を楽しもう。この時間を味わうことこそが生きているということだ。
人が生きているとお金がかかる。住む家がいる。食べ物がいる。服がいる。学費がいる。医療費がいる。死んだ翌日から、これらは全てかからなくなる。なので最もコスパが良いのは死んでしまうことだ。ついでにタイパも最高だ。かかる時間はゼロだ。
